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【グリスタ相談員・今日のコラム ②】地域にあるものすべてが資源。

2019.8.7

グリスタ相談員 兼森一将による連続コラム2回目。

今日は、旅行会社勤務経験も含め、自ら長く観光産業に携わった経験から、少しお話をしてみようと思います。

私は2013年から3年半、島根県松江市にある(一社)松江観光協会にて観光コーディネーターとして働いていました。

島根県松江市は国宝・松江城や美肌の湯で有名な玉造温泉に代表されるように、観光資源に恵まれた国際観光都市でしたが、今後も見据え、新たな視点での「観光資源」の再発掘、再加工が必要。
よそ者人材であるわたくしに、まっさらな目線で松江市の新しい観光商品を提案してほしいという事で、縁もゆかりもなかった松江の地にお世話になることになりました。

着任して気づいたのは、受け継いできた歴史や文化、「松江らしさ」と人々がよく口にするライフスタイルも含め、伝統的なものを大切にする機運は本当に素晴らしいのですが、反面、今ある地域資源を逆転の発想で活用し、新たな地域資源に変えていくのは少し苦手な都市だとも感じていました。

私の観光地づくりのモットーは「地域にあるものがすべて観光資源」。
名所旧跡や歴史的建築物だけが観光地ではなく、市民のライフスタイルも含め、街の日常全てが、来訪者にとっては、観光対象であるという考え方です。ゆえに、観光地よりも、むしろ人が少ないところを、すすんで観察していた記憶があります。

そこで目を付けたのが「お寺」でした。
隣の市、出雲市には「出雲大社」という日本を代表する神社があり、島根県東部地方には多くの神社が存在します。またこの地に暮らす人々は神々について、誰もがうんちくを話せるくらい詳しいのです。
一方で、城下町として長く栄えた都市でしたので、古刹といわれる「寺院」も数多く存在するのですが、神社に比べ、その観光資源的な注目度はさほどではありませんでした。
私は、お寺の本堂や庭園などはあまり興味がなく、むしろ「お坊さん」に興味を持ちました。
お坊さんは昔から代々その町に住み、歴史も含め、町のことを誰よりよく知るはずの存在です。それに講話、説法をする機会も多いでしょうから、話だって上手なはずです。「お坊さん」こそ、地域の観光資源になりうる存在だと思っていました。

ある日、地元温泉旅館の女将の紹介で、若手の僧侶と話をする機会がありました。
彼らもまた、高齢化に伴う檀家不足や若年層との触れ合いの機会の少なさ、そして何より、地域になにか貢献したのだけれど、何かできないかともやもやする気持ちを持っているようでした。
私は彼らに首都圏を中心とした若い女性に「僧侶と触れ合えるイベント」が大変人気であり、小さなムーブメントが起こっていることを伝えました。
彼らもまた、何かの形で松江観光振興の役に立ちたかったが、何をしていいかわからないまま時が過ぎていたことを話してくれました。
それをきっかけにたちまち意気投合。
話は一気に進展し、浄土真宗、曹洞宗、日蓮宗の全く違う宗派の若手宗派3人組とで、新たな観光コンテンツ作りに取り組むことがトントン拍子で決まったのです。

皆で考えたコンテンツは「松江お坊さんカフェ」。
月に2回程度、座禅体験や写経、そして最後はお坊さんがお茶やコーヒーをもてなしながらのフリートークという内容。
企画を進めるにあたっては地元温泉組合の主催事業とし、積極的にホテル旅館でもオプショナルとして販売してもらいました。

意外なことに、お坊さんの経歴もユニークで、元広告代理店勤務やプロ写真家がいたこともあり、プロモーションはばっちりでした。

ユニークさから口コミでマスコミの知れるところとなり、全国紙も含め多数の新聞、テレビに取り上げて頂き、最終的には「月刊僧侶」というお坊さん業界紙の取材も受けたこともあります。(いろんな業界紙があるもんですね・・・)

参加者も回を追うごとに増えていきました。

ウリだったのは違う宗派のお坊さんと触れ合えること。
袈裟から所作、合掌の仕方から修行法まで全く違うことは参加者の興味を大いにひいたようです。

さらに、宗派が違えば、お坊さん同士の交流はほとんどないことも教えてもらいました。
ですから、この試みは仏教界の中でもちょっとした話題に。

のちに浄土宗のお坊さんにも加わっていただき、にぎやかなコンテンツに成長していきました。
私は2017年春に松江市を離れましたが、様々な方の熱意と支援で3年間で約300名の集客をするコンテンツに成長。
今では自分の仕事における考え方のベンチマークになっています。

そこから今を考えてみます。

現在は、私は空き店舗と創業希望者をつなぐGRESTA.に在籍しています。
松江での経験を活かすならば、「空き店舗」も地域資源です。
価値観は三者三様。
いつもそこにいる人はその価値に気付かなくても、他人から見れば大いなる価値があるとみる人もいるでしょう。
その価値を決めるのは自分ではなく、今はいない誰かなのだと思います。
だから、ここにいるよと常に発信し続けることが大事だと考えています。

先ほどの松江での話に置き換えるなら・・・
あの日、出会ったお坊さんが「ここにいるよ」とアピールしてくれたからこそ、お坊さんと観光コンテンツが作れないかなぁと感じていた私とマッチングが出来たのだと思います。

ぜひ物件活用でお悩みのオーナーさんがおられたら、ぜひ私共、GRESTA.にご相談くださいませんか。
あなたの物件に価値を感じてくれる「誰か」に出会えるかもしれません。
そしてそれを資源化することが出来ないか、私たちも一生懸命考えさせていただきます。

「地域にあるもの全てが資源になりうる」。

私はいつもそう肝に銘じながら仕事をしています。


↑ お坊さんカフェの様子(ひとりだけお坊さんではないお坊さん風な人がいます・・・私です)

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